パスカル『パンセ』1  (3月18日)
   人間は一本の葦にすぎない。自然の中でも一番弱いものだ。だが、人間は考える葦である。これを押しつぶすのには、全宇宙はなにも武装する必要はない。ひと吹きの蒸気、一滴の水でも、これを殺すのに十分である。しかし、宇宙が人間を押しつぶしても、人間はなお、これを殺すものよりも尊い。人間は、自分が死ぬこと、宇宙が自分よりもまさっていることを知っているからだ。宇宙は、そんなことは何も知らない。
   だから、私たちの尊厳のことごとくは、考えるということにあるのだ。まさに、ここから、私たちは立ち上がらねばならないのであって、空間や時間からではない。私たちには、それらを充たすことができないのだから。だから、正しく考えるように努めようではないか。いかに生きるかの根底はここにある。

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