(7月31日)
   企業は、個人の職業生活においてストレスがプラスの効果をもたらすことに気づいた。それは仕事における活力の増大や何かを克服しようという気持ち、自分の限界を乗り越えようという意志などである。そのためマネジメントの本物の方法としてストレスを利用した人もいるのだ。企業は、社員や管理職にストレスをもたらしたり与え続けることで、彼らが仕事をするスピードを上げたり、仕事に対する攻撃性の方向を定めたり、社員全体を激しい競争の雰囲気の中に導こうと考えたのである。
   しかしストレスは、ストレスに襲われる人の中に、不安の感情や絶え間ない緊張、失敗するかもしれないという恐れを生じさせる。そしてそうした不安や緊張、恐れは、ついには彼らを内的にすり減らしてしまうのである。不満は成功の原動力でもあるが、個人的な問題の元にもなり、そのいくつかは重大なものともなる。精神安定剤や睡眠薬の売上高は、フランス人が他国の人よりストレスに敏感になっているか、あるいはストレスに耐えるための防備がより貧弱であることを示していると思われる。
  1. stress:ストレス(英語)。Le Petit Robert(仏仏辞典)によると1950年頃にフランス語に入ってきたとされている。ちなみにフランス語では「effort intense, tension」
  2. management:マネジメント(英語)企業の経営機能と管理機能の総称。Le Petit Robertでは「conduite, direction d'une entreprise」となっている。
  3. cadre:「枠、生活環境」という意味の他に、複数形で「幹部、管理職」の意味がある。
  4. pensaient:penserの後に不定詞が続くが、意味的にpenser+faire、canaliser、entraîner。使役のfaireがかかっているのはtravaillerだけ。
  5. ceux:関係代名詞の先行詞として「人々」
  6. en sont atteints:en=du (de+le) stress, être atteint deで受動態。恒常的な状態なので動作主はdeで導く。
  7. qui finissent:動詞の活用から先行詞はsentiment、tension、peurの3つ。文脈から関係代名詞の前で切って訳出した。
  8. tendent à montrer:tendre à+inf. (1) ~することを目指す、目標とする (2) ~する傾向がある (3) ~すると思われる。ここでは(3)の意味。
    (Cela tend à prouver qu'il est innocent. それは彼が無実であることの証左となるだろう)

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