2-50  (2月29日)
  雨はやんでいた。寝静まった邸宅の上には、星のきらめく無限の空が広がっていた。おそらく時間はとても遅いのだろう。一軒のカフェだけ灯りがついていた。アントワーヌはカフェとは反対の、海の方へ歩いていった。海は満ち潮で波がゆっくりと穏やかな音をたてていた。浜辺には誰もいなかった。アントワーヌは砂の上に横になった。遠く、ル・アーヴルの方で、灯台が光を放っていた。彼はその光の間隔を計った。「1、2、3、4、5、光、1、2、3、4、5、光」そのリズムは彼の気持ちを少しばかり落ち着かせた。そして彼は砂の上で仰向けになった。星々のただ中に埋もれるような気がした。彼は星の名前を挙げた。「こぐま座に北極星。あの椅子の形は、名前を忘れてしまった。昴がまたたいている。なんて美しいんだ!」静けさが心地よかった。無限の空や海、それらの無関心さも彼には心地よかった。まるで大きくて優しく、無言の仲間の前にいるようだった。
  1. Sans doute était-il:副詞句のsans douteが文頭に置かれているために倒置している。
  2. Antoine lui tourna le dos:tourner le dos à~(1)「~に背を向ける、そっぽを向く」(2)「~と反対の方向に向かう[進む]」。なお、luiはここでは「人」ではなく「もの」を指す。次の例文でも同様である。
    Où est la Sorbonne ? ― Vous lui tournez le dos.
    「ソルボンヌはどこですか?-逆方向ですよ」
  3. en arrière:(1)「後ろに、後方に」(2)「遅れて」
  4. eut l'impression de:avoir l'impression de+不定詞(que+直説法)「~のような気がする、~と思う」
  5. lui faisait du bien:faire (du) bien (à ~)「(~に)よい効果をもたらす、(薬などが)効く、元気をつける、気分をよくする」

→ 問題文に戻る

→ 読解練習帖2 index


→ accueil( Home )