2-45  (2月23日)
  歴史を記述することは極めて難しいことである。物事がどのように進展したか正確に知ることは決してできない。さらに、史料が増えるにつれて歴史家はより困惑していく。ある事実がただ一つの証言によってのみ知られるなら、あまりためらうこともなくその事実を認めるものである。事件が2人以上の証人によって報告される時、曖昧さというものが始まる。なぜならそうした証人の証言はつねに両立しうるとは限らず、往々にして全く相容れないからである。おそらく、ある証言より別の証言を選び取る科学的な理由は時として非常に強いものがある。しかし我々の情熱や偏見、関心に勝るのに十分なほど強くはなく、また謹厳な人すべてに共通する精神の繊細さを圧倒するほどにも強くはないのである。その結果、我々は打算的な方法であったり取るに足りないやり方であったりするが、ともかくも事実をたえず提示することになるのだ。
  1. franchement:(形容詞の前で)「全く、本当に」
  2. Elles ne le sont jamais:前文とは逆接の関係にあるので「しかし」を補足した。中性代名詞 le=fortes
  3. l'emporter sur:l'emporter sur~「~に勝つ、~より優位に立つ、優先する」
  4. En sorte que:= de (telle) sorte que。直説法が続いて「(その結果)~である」(接続法が続くと目的を表し「~するように」)
  5. d'une manière intéressée:d'une manière+形容詞「~のやり方で」

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